大学知名度ランキング！No.1は早稲田でも東大でもなくあの私学！

関東エリアの高校生に最も知られている大学は「早稲田大学」だろうか、「東京大学」だろうか。あるいは、日本で学生数が最も多い「日本大学」だろうか。最近公表された知名度ランキングによると、正解はこれらのいずれでもない。

リクルート進学総研が毎年実施している「進学ブランド力調査」

リクルートが運営しているリクルート進学総研は2021年7月、高校生を対象に行っている「進学ブランド力調査（2021年版）」の結果を発表した。この調査は、関東エリアと東海エリア、関西エリアでそれぞれ行われているが、この記事では関東エリアの結果を紹介する。

進学ブランド力調査は、高校生の大学選びの傾向を明らかにするために2008年から毎年実施されているもので、2021年の調査は4月2日から4月30日にかけて実施された。調査対象となったのは2022年3月卒業予定者、つまり現在の高校3年生だ。

進学ブランド力調査では、「志願したい大学」と「知っている大学」、「大学のイメージ」という3つのランキングが公開されているが、この記事では「知っている大学」の結果に焦点を当てる。

参考までに、関東エリアにおける「志願したい大学」ランキングの首位は早稲田大学で、「大学のイメージ」ランキングの首位も早稲田大学だった。

では、関東エリアにおける「知っている大学」ランキングを紹介しよう。結果は以下のとおりだ。

＜関東エリアの「知っている大学」ランキング＞

順位（前回順位）	大学名	区分	知名度
1位（2）	青山学院大学	私立	91.9％
2位（1）	早稲田大学	私立	91.6％
3位（2）	東京大学	国立	91.0％
4位（6）	日本大学	私立	88.3％
5位（4）	明治大学	私立	87.8％
6位（10）	中央大学	私立	87.6％
7位（7）	法政大学	私立	85.8％
8位（5）	上智大学	私立	85.1％
9位タイ（9）	駒澤大学	私立	83.7％
9位タイ（11）	立教大学	私立	83.7％

出典：リクルート進学総研

意外かもしれないが、青山学院大学が1位で知名度は91.9％だった。2020年調査では早稲田大学が1位、青山学院大学と東京大学が2位タイだったが、2021年調査では青山学院大学が早稲田大学を逆転した。

この調査では大学のイメージも聞いており、青山学院大学は「校風や雰囲気が良い」「キャンパスが綺麗である」という項目で最も高い評価を受けている。

青山学院大学は2019年に開校70周年を迎えた。最近はグローバル教育や研究環境の整備に力を入れており、世界に貢献できる人材の育成を推進している。

青山学院大学の知名度が高い理由は、有名人を多数輩出していることや、近年は箱根駅伝でも活躍していることなどだろう。また、青山キャンパスは渋谷にあるため、おしゃれなイメージも知名度の向上に一役買っているとみられる。

ちなみに、青山学院大学には女性専用のパウダールームやフィットネスセンターもある。

2位は早稲田大学で知名度が91.6％、3位は東京大学で知名度が91.0％、4位は日本大学で知名度が88.3％、5位は明治大学で知名度が87.8％となっている。

ちなみに、早稲田大学は「学びたい学部・学科がある」という項目で、東京大学は「専門分野を深く学べる」「教育方針・カリキュラムが魅力的である」という項目で最も高い評価を受けている。

日本で入学が最も難しいといわれている東京大学が3位という結果は、大人世代は意外に感じるかもしれない。

日本では少子化が進んでおり、各大学は志望者集めに必死だ。多くの志望者を集めるためには他の大学にはない強みや魅力を持つ必要があるため、それぞれ差別化に向けた取り組みに力を入れている。

近年は、マーケティングを強化している大学も少なくない。卒業式に著名人を呼んで知名度アップを図る大学や、大学発スタートアップの設立を後押しし、日本国内、さらには世界での存在感を高めようとしている大学もある。

毎年発表される「知っている大学」ランキングを追い、どのようなイメージを持たれているのかを探っていけば、各大学のマーケティングの成果や差別化の成功度などが見えてくる。

前述のとおり、この調査は東海エリアと関西エリアでも行われているので、関東との違いを見てみるのも一興だ。

執筆・岡本一道（政治経済系ジャーナリスト）
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。