歯周病菌は血糖値を上昇させインスリンの効き目を奪う

歯磨きしないとメタボになり、筋肉が「脂肪化」すると報告される!
(画像=歯周病菌に感染したマウスは糖尿病になりやすくなる / Credit:佐賀大学、『ナゾロジー』より引用)

仮説の証明にあたり、研究者たちは非常にシンプルな方法をとりました。

研究者たちはまず一種の「タグ」付きの砂糖ともいうべき「2-デオキシグルコース」を用意し、歯周病菌(Pg)に感染したマウスと健康なマウスの2グループに食べさせました。

この特殊な糖は分解が途中で止まるようになっており、解剖して摘出した筋肉に含まれる「タグ」の量を測ることで、糖分がどれだけ筋肉に取り込まれたかを調べることができます。

人間でもマウスでも、多くのエネルギーを消費する骨格筋は、糖分の主要な吸収源ですが、糖尿病にかかると、筋肉は血管から糖を吸収しなくなってしまいます(結果として血液中の糖が増える)。

もし歯周病菌(Pg)が筋肉の総量を減少させるだけでなく、筋肉そのものの糖の吸収能力を奪っているなら、糖尿病の明白な原因といえます。

歯磨きしないとメタボになり、筋肉が「脂肪化」すると報告される!
(画像=歯周病菌は筋肉が糖を取り込む力を落として糖尿病にする / Credit:佐賀大学、『ナゾロジー』より引用)

実験を行った結果は明白でした。

上のグラフが示すように、歯周病菌(Pg)の感染は筋肉の糖吸収能力を奪っていたのです。

歯磨きしないとメタボになり、筋肉が「脂肪化」すると報告される!
(画像=歯周病菌はインスリンの効き目も落とす / Credit:佐賀大学、『ナゾロジー』より引用)

またインスリンの効き目(インスリンシグナル)を調べたところ、上のグラフのように、歯周病菌(Pg)に感染したマウスでは、インスリンの効き目が大きく落ちていることが確認されました。

さらに腸内細菌を調べると、歯周病菌(Pg)は腸内細菌叢(腸内細菌の比率、腸内フローラとも言われる)に大きく影響を与え、腸内細菌の多様性を損なっていることが示されたのです。