この「見えないのに重力だけが存在する」という特徴が、まさにダークマターの性質そのものなのです。

また、これまでの観測ではダークマターの正体が何なのかまったく分からず、仮説に基づく粒子(未知の素粒子)を探す実験でも決定的な証拠が見つかっていません。

そこで、原始ブラックホールのように「既に存在しているけど非常に見えにくい物体」なら、ダークマターの正体として説明がつきやすいからです。

もちろん、今回観測されたQSO1はまだたった一つの例にすぎません。

しかしこれから先さらなる観測と理論研究によって、この驚くべきシナリオの真偽が解明されていくことでしょう。

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元論文

A direct black hole mass measurement in a Little Red Dot at the Epoch of Reionization
https://doi.org/10.48550/arXiv.2508.21748

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部