その引用回数が多い論文を書いた人が一流研究者で外部資金を引っ張ってくるときの看板になるので、どこまで愚鈍で無内容な論文を量産できるかの勝負です。

失礼ながら、中国の大学や研究機関が一流学術誌に載った論文の引用回数トップテンのうち7~8スロットを占めているのは、まさに適材適所と言うべきでしょう。その山をなす論文の中から何かしら人類に役立つ新発見、新発明が出てきたら心の底からおめでとうと祝福して差し上げます。

5.ITにおける技術革新での日本の後進性

私には、なぜIT(情報通信テクノロジー)などというひねこびた分野にこだわられるのか、見当がつきません。

たとえば、モノを運ぶ時のことを考えてみましょう。質量をもった物体であれば、形があり、大きさがあり、重さがあり、硬さ・柔らかさがあり、固体、液体、気体の区別があり、同じ距離を運ぶにしても最適な方法は千差万別です。

デジタル化した情報は、文字、音声、画像、どれをとってもそれ自体に質量はないので、運ぶ方法は千載一律、ひたすらどれだけ速く、どれだけ大量に運べるかだけの退屈な世界です。

そのIT分野で後進的であるということは、その他のもっとはるかに実りの多い分野で先進的だということです。

6. 日本企業の競争力は上がらない?

日本の知識人が「日本はダメだ」と言ってさえいれば賢そうに見えるから、マスコミもそういう情報ばかり流すのでしょうが、こういうときこそ「お話」ではなく、確固としたデータをご覧ください。

2014年の時点で世界の革新的企業トップ100社の国別内訳は次のとおりでした。

「2014年になってもまだ日本が世界一だったのか。それに引き換え、今ではもうアメリカには相当引き離されているし、ひょっとしたら中国にも抜かれているんじゃないだろうか」とお考えの方が多いのではないでしょうか。

今年の3月に公表されたばかりの2025年版をご覧ください。