これもまた、日本の政治家や官僚に小指の先ほどの危機意識もなく、漫然と「なるようになれ(なるようにしかならない)」と、彼らは無知蒙昧と信じている一般大衆を放っておいてくれている賜物でしょう。

日本の大衆は賢いから、ちゃんと来たるべき危機に備えています。

8. 大企業がないのは弱み?

重厚長大型製造業が経済全体を牽引していた頃には、たしかに巨額の調達をする信用力があって、莫大な資金を投じて超大型設備を造って規模の経済を最大限に生かすことが最適解でした。

しかし、製造業の中でも軽薄短小型の羽振りが良くなり、さらにGDPの7~8割はサービス業が占めるようになった今の時代に、大企業であること自体にそれほど大きなアドバンテージはありません。

利権社会では、どんな産業分野でもロビイング投資の費用対効果が大手数社より超大手1社に圧倒的有利という事情はありますが。幸い、日本はそこまで腐敗が進んだ社会ではないので、それは考慮する必要がありません。

ごく最近まで、金融業者にとっては、超大手が時価発行増資にしろ、社債発行にしろ派手に資金を調達してくれるとたっぷり儲かっていましたが、最近では大手になるほど調達より増配や自社株買いで払い出しをするほうが多いので、金融業界にもあまりメリットはないはずです。

むしろ、このところマグニフィセント7などの時価総額が莫大な企業ほど、客観的な評価基準を無視して割高でも「買え、買え」と客に強要しているのは、破滅願望に近いものがあるのではないでしょうか。

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