こんにちは。
これまでずっと、しっかりした論理と信頼のおけるデータによって裏付けた文章しか書かないというスタンスで、このブログもウェブマガジン「増田悦佐の世界情勢を読む」も執筆してまいりました。
これからも論理的整合性や実証性のないことは書かないという基本姿勢に変わりはありませんが、多岐にわたるご質問になるべくまとめてお答えしようとすると、いちいちデータを添えていることを煩瑣と感じる方もいらっしゃるかもしれないことに気づきました。
余命半年の米国経済
そうした場合には、ブログでは文章中心で最重要と思うデータに絞ってご紹介し、もっと詳しく知りたいとお思いの方には、より充実したデータも書き添えたウェブマガでご覧いただくというかたちをとってみようかと思っております。
ちょうど、非常に多岐にわたるご質問をいただいておりますので、そのお答えを、ここではデータをやや端折って書き、ウェブマガではきちんとデータを揃えて詳しく論じさせていただこうと思います。
まず、ご質問のリストをご紹介します。
それでは順番にお答えしていきます。
1.崩壊期西ローマ帝国と現代米国の共通点
いろいろ共通点はあります。たとえば、財政難で「パンとサーカス(食費支給と派手なスペクタクルの提供)」によって市民たちの不満を懐柔することができなくなってきたこともそのひとつです。
また、西暦4~5世紀はコンスタンチヌス帝によって「国教(と言っても、当初は布教を迫害・弾圧されることがなくなっただけだったのですが)」となったキリスト教が、従来盛んだったローマ神話の断片的なエピソードにもとづく土俗信仰に対する力を強めていった時期です。
経済が停滞し、世相がすさむにつれて、「もっと禁欲的に」と熱心な信者のみならず一般市民まで抑制しようとするキリスト教聖職者たちと、もともとかなり奔放だった性のあり方をさらに刹那的、さらに猟奇的にしようとする人たちのあいだで衝突が増えました。