アメリカに勝利したばかりで意気軒高だったベトナム軍がポルポト政権によるすさまじい知識人弾圧を制止するためにカンボジアに侵攻した空き巣を狙うようにベトナムに攻め入ったとき以来、中国はインド軍との国境を挟んだ小競り合いはあっても本格的な軍事行動を経験していません。
ベトナム侵攻のときも、正規軍がカンボジアにいる間は、自警団や義勇軍相手に威勢よく進撃していたのですが、ベトナム正規軍が返ってくると全く歯が立たず、ほうほうの体で逃げ帰ったのが実情です。
人民解放軍の中でも当時の自分たちの実戦経験のなさを身をもって知っている人たちはほとんどいなくなりましたが、それでも本来内乱鎮圧用で外敵と対峙するための訓練を受けていない自軍の弱さは、わかっているはずです。
3.反習近平民主化とその後の中国は?
もし人民解放軍の内乱で現政権が倒れるとすれば、軍管区ごとの疑似「軍閥」の割拠というようなことがあるかもしれません。
あるいは、いまだに都市戸籍を持った都市住民の3分の1ぐらいの生活水準に抑えられている農民の反乱が起き、それぞれの地方で日常使われている言語圏ごとの分裂が生じるかもしれません。
経済的には都市戸籍持ち都市民と農民の中間ぐらいだけれども、何十年都市に住んでいても出稼ぎ農民の短期居住と見なされるので政治的・社会的には無権利状態に置かれている「民工(出稼ぎ農民)」と農民の連携した反乱となれば、いちばん民主化に近い道をたどることができそうですが、そううまくいくかどうかは分かりません。
他国の政治がどう動くかで日本がほんとうに平和でいられるかどうかが決まるという発想には、同意しかねます。
どこの国も他国が平和でいられるようにと願って行動するわけではありませんし、逆に敵を完全に追い出すか、殺し尽くすまでは攻め続けるという国も、現代世界ではイスラエルぐらいのものでしょう。
完全な戦争状態の黒でもなく、真の平和の白でもなく、モノトーンのスペクトラムの中で、いかに薄いグレーに持っていけるか自分たちでできることを考えるべきでしょう。

一見意気軒昂に見える習近平国家主席 中国共産党新聞より