lobal=local + global 【Think Locally, Act Globally.】
として再構成した概念である。
20世紀の終盤あたりから、グローカルという表現が定着したが、すでに現在では<glocal = global + local>という等式ではなく、むしろ時代はローバル<lobal=local + global>に急速に移行しているように思われる。
広井による説明の問題点京大・日立製作所合同のレポート「政策提言グローバル版」での解説はやや簡単なので、もっと詳しい説明をこのプロジェクト責任者であった広井が行っている(広井、2025)。これに沿って、7通りのシナリオ全体を概観したうえで、いくつかの問題点を指摘してみよう。
まず最初に「好ましくない」とされた「二極化シナリオ」(シナリオ7)の理由は、「先進国が地球全体の資源・環境の主要部分を独占する」(同上:4)だからである。
これを避けるには、
先進国が化石燃料使用量や一人当たりエネルギー消費量の削減など、環境重視の対応を早急に進めること 途上国における一人当たりGDP増加や社会インフラ整備など、途上国の経済発展を促すような対応を積極的に行うこと
を並行して広井は挙げている。
二酸化炭素地球温暖化論者の理由と酷似しかしこの両論併記では新鮮さに欠け、かねてからの二酸化炭素地球温暖化論者の理由と酷似しており、説得力を持っていない。
なぜなら、先進国が環境重視に転換してかりに二酸化炭素の排出量を削減しても、途上国のGDP増加、インフラ整備、経済発展を促すのであれば、それまでの先進国と同じように化石燃料使用量や一人当たりエネルギー消費量が地球全体では増加するからである。
この両論併記は、少なくとも地球全体の環境重視の策とはいえない。
「地域分散・成熟シナリオ」(シナリオ1)にも課題が残る京大・日立製作所「政策提言グローバル版」でも広井の説明でも「シナリオ1」への期待が大きいが、それは「経済面では成長が鈍化する一方、地球全体のCO2排出量などは良好なパフォーマンスを示す」ことが期待されたからである。その反面、「国際的な紛争」が「大きく減少する」し、「先進国・途上国」の格差が縮小するからでもある。