玉村:処遇についても、公平かつ可視化された基準が重要ですね。

尾崎:はい。人の成長は個人によって異なるので、処遇は公平かつ平等に評価する必要があります。会社として求めている基準を明確に設定し、それを達成していれば昇給額を多く、満たなければ少なく設定するなど、数値化された定量的な評価が重要だと考えています。

「逃げ」か「前進」か。その選択は自分の目的・目標達成に繋がるか

玉村:昔は「石の上にも三年」、最近は「つらかったら逃げてもいい」という風潮がありますが、その見極めはどう思われますか?

尾崎:目的・目標という軸で考えると、「逃げる」ことがその場から離れることで「前進」になるのか「後退」になるのかが重要です。自分の目的・目標達成のために今やっていることが無駄だと思うならば、「石の上にも三年」どころか「三秒」で移動した方がいい。前進のための新しい選択であれば、それは「逃げ」ではないと思います。

ただ、目的が不明確なまま一時的な感情で転職するなら、次の環境でも結局「嫌だ」という感情はついて回るでしょう。どんな環境であれ、「嫌だ」と言う感情の根本原因を消し去る事は出来ません。

また、オーバーワークとハードワークの違いも見極める必要があります。体調を崩すほど自分を追い込むのはオーバーワークです。ただ、自分の限界を知らずに「これがマイペース」と言っているうちは、まだ手の内でやっているに過ぎないので、まずは思い切り振り切ってやってみることも大切です。

玉村:本人が「オーバーワークだ」と思っていても、実はまだやれるというケースの見極めはどうすればいいでしょうか?

尾崎:本人が「無理だ」と認識していたら、やはり無理になってしまいます。そのため、それを客観的に上司が部下の可能性を見て、「まだ時間があるよ」「まだこんなことができるよ」と目標設定してあげることが重要です。

その結果、部下も「あと2日あるから何かできるんじゃないか」と考えるようになります。今まで10日かかっていたものを3日でやれと言われて、「絶対無理だろう」と思っても、できてしまうことがありますよね。