しかし、自分の人生における大きな目的を定め、その達成のための「手段」として今の仕事を見ることができれば、日々の目標や積むべきキャリアが明確になるはずです。今感じているしんどさの多くは、目先の作業に追われ、その先にあるはずの道筋が見えなくなっていることが原因なのかもしれません。

単調な作業にも意味を見出す。定量的な目標で成長を可視化する

玉村:世の中にとって必要な仕事だと分かっていても、やりがいを感じにくい方もいると思います。そういう方への心の持ちようについてアドバイスはありますか?

尾崎:単調作業は、毎日同じことの繰り返しでしんどいと思います。昔の西洋では、目的のない石運びを繰り返させる刑があったそうですが、目的のない作業を繰り返すと人はおかしくなってしまいます。

しかし、同じ量の石を運ぶとしても、「ここに橋をかけよう」という目的があったり、その橋を利用する人が喜ぶ未来像をイメージしたりできれば、運んだ分だけゴールが近づくのでモチベーションが上がります。今やっている単調作業の先に、どれだけのお客様に貢献しているのかを考えたり、自分なりの小さな成長を確かめられる目標設定と達成を繰り返したりすることで、日々の達成感や将来的な社会貢献のイメージが作れ、単調な作業も違って見えるかもしれません。

玉村:その際に、従業員一人ひとりが意識することに加え、管理職が「その仕事がどのように役立っているのか」を具体的に示すことも重要ではないでしょうか?

尾崎:そうですね。管理職の視座から見える景色を伝えることで、部下が自分の仕事の目的や意義を理解し、意識が変わる事があるでしょうが、絶対とは言えません。それ以上に部下の成長を実感させるために、具体的かつ定量的な目標を設定することが重要です。

例えば、学生の頃の身体測定で5ミリでも身長が伸びていたら嬉しかったように、どんなに小さな成長でも数値化することで、客観的に成長を確認できます。「あなたはこれだけ良くなっている」と実感させてあげることが大切です。