その結果、研究チームは興味深い事実を発見しました。
VILPAを日常的に行っていた人たちは、全くVILPAを行わなかった人たちよりも、死亡リスクが低い傾向が明らかになったのです。
特に1日あたり平均5〜6回、合計時間で約1.1分間のVILPAを行っていた人たちは、死亡する危険性が約40%ほど低かったことがわかりました。
統計学では、このような「死亡する危険性」を示す指標を「ハザード比(Hazard Ratio:HR)」と呼びます。
VILPAを全くしない人の死亡リスクを「1.0」とすると、1日平均で約5.3回行った人では「0.56」(約44%低下)、1日平均で約1.1分間行った人では「0.61」(約39%低下)という数値が示されました。
これは簡単に言えば、「たった約1分間という短い激しい運動を毎日続けている人は、まったくしない人に比べて長期間で見ると死亡するリスクが4割近くも低かった」ということを意味しています。
さらに研究チームは、VILPAの「回数」と「合計時間」を増やした場合に、死亡リスクがどのように変化するかを詳しく調べました。
このように、運動量を増やすほど健康効果が高まるのかどうかを調べることを、「用量反応(Dose-Response)」の分析と言います。
薬でも「量を増やすと効果が高まるが、多すぎると効果が頭打ちになる」ことがよくありますが、運動でも同じように「どのくらい運動すれば効果が最大になるのか」を確かめるのは重要です。
分析の結果、VILPAの場合も、このような「量を増やすほど効果が高まるが、ある程度を超えると効果の増え方がゆるやかになる」という傾向がはっきり示されました。
これを専門的には「L字型(エルじがた)」の関係と呼びます。
グラフでイメージすると、最初は効果が急激に上がり、その後はカーブがゆるやかに平らになっていくような形をしているのです。
具体的に見ると、VILPAの「回数」では、1日に平均約4.3回行う人たちが、何もしない人と比べて死亡リスクが約38%も低下しました。