言い換えれば、「普段まったく運動していない人」ほど、わずかな運動でも劇的な効果が得られやすいということです。

一方、ある程度身体活動を日常的に行っている人が同じような効果を得るには、もう少し長く運動を続ける必要があるかもしれない、というわけです。

今回の研究は、「普段運動をしない人が日常の中でできる簡単な運動」に焦点を当てており、健康な人にとっては少ない運動量でも、運動不足の人には大きな健康効果があることを示しています。

また、これまでの「1回につき10分以上続けるべき」という従来の運動常識をくつがえし、「日常生活で短くても激しい運動を積み重ねれば、健康のメリットを得られる可能性が高い」という新しい視点を提供しています。

ゼロを1にする勇気――誰でもできる健康革命

ゼロを1にする勇気――誰でもできる健康革命
ゼロを1にする勇気――誰でもできる健康革命 / Credit:Canva

なぜたった1分間程度の「全力運動」でこれほど大きな効果が得られたのでしょうか。

考えられる理由の一つは、短くても強い運動は心肺機能や代謝に刺激を与え、体に良い変化をもたらすためと考えられます。

全力で息が切れる運動をすると心臓が一時的にドキドキと激しく動き血流が増えます。

この“小さな負荷”を日々繰り返すことで心臓や血管が鍛えられ、結果的に長期的な健康状態が改善する可能性があります。

「1日1分の全力」というとわずかなようですが、たとえば階段を一気に駆け上がったり、全速力で短距離を走ったりすれば1分でも相当ハードです。

そのハードな運動を毎日少しだけでも続けることが、塵も積もれば山となって寿命に良い影響を与えている可能性があります。

この研究の意義は、運動が苦手な人でも取り組める現実的な方法を示した点にもあります。

研究チームは、VILPAが時間効率がよく、続けやすい選択肢になり得ると指摘しています。

例えば「歩く速度を普段よりグッと速めてみる」とか「掃除や家事を少し力を込めて素早くやってみる」といった工夫で、誰でも日常の中にVILPAを取り入れられます。