さて空軍力比較ですが、戦闘機や爆撃機の機数にあまり大きな差はありません。いちばん大きな差がついているのは、攻撃用ヘリコプターですが、これは空軍対空軍の戦闘行動ではほとんど意味を持ちません。
自国内での反乱軍や暴動参加者をなるべく大勢殺傷するために低空でホバリングしながら機銃掃射をするための兵器です。あるいは、完全に敵国上空の制空権を握ってから、なるべく大勢非武装民間人を殺傷するためにも使います。
その意味ではいかにもイスラエル軍にふさわしい兵器で優位に立っていると言えます。
実際に2023年10月7日のハマス戦闘部隊によるイスラエル領内侵入事件中で最大の死者を出したミュージックフェスティバル参加者の無差別殺戮も、ほとんどがイスラエル軍のアパッチヘリからの機銃掃射で亡くなったことが判明しています。
空の戦いも、次第に戦闘機・爆撃機からミサイルとクローンが主役に移りつつありますが、ミサイル発射能力を規定する可動式ロケット発射装置台数は、このデータでは陸軍力に分類されています。ここではイラン755台対イスラエル150台と、イランが圧倒的に有利です。
また戦車や装甲車の台数でも、イランがかなり差をつけた優位にあり、陸軍力でイスラエルが勝っているのは自走砲の台数だけ、それも比較的小さな差となっています。
イスラエルの戦車台数が全部で12台というのは、戦車隊同士の戦いなどはまったく考えておらず、抵抗もできない民間非戦闘員をキャタピラーで踏みにじるためだけに存在する戦車だということでしょう。
今度は、私としては財政・金融力の次に大事な2位の座を争うと見ている人口力とエネルギー資源力の比較です。
一目瞭然、左側の人口力でイスラエルが勝っているのは、予備役人口がイランの35万人に対して46万5000人と多いことだけです。ですが、正規軍の現役兵員が17万人なのに対して、その3倍近い人数を予備役として確保しているのは異常です。