いつでも大量動員をかけて正規軍の規模をほぼ4倍にできるという周辺諸国への威嚇なのでしょうが、これだけの人数のイスラエル国民がいつ戦場に引きずり出されるか分からない状態で暮らしていること自体、大きな反政府運動のきっかけになりかねないと思います。
実際にはこの表では46万5000人となっている予備役人口は、長引くガザでのジェノサイド戦争に加えて、対イラン12日戦争ではイスラエル側の戦死者も多かったために、ほぼ3万5000人が正規軍に組み入れられて、43万人に減少しています。
そして、ガザやヨルダン川西岸地区の実戦から復員した兵士たちのあいだで、自軍兵士の残虐行為を目撃したことによるトラウマを克服できずに自殺する事例が増えています。
ガザ全面占領やヨルダン川西岸地区の入植地域拡大、はてはシリア南部の武力制圧まで手を広げれば、こうしたケースはさらに激増するでしょう。
ネタニヤフが「ガザ全面占領のために、今年11月までに予備役40万人を動員する」と豪語したとか、前線の指揮官が「全面占領のためには、現状ですでに兵員が6万人不足している」と指摘したとかの報道があります。
これはあとで詳しく論じますが、もうイランとことを構えるのはこりごりと思っているアメリカ軍を強引に対イラン戦争に引きずりこむために「イスラエル軍はガザ全面占領だけで手一杯だからイランは米軍が引き受けてくれ」という、アメリカ国内の親イスラエル好戦派政治家たちへのメッセージでしょう。
エネルギー資源力にいたっては、まったくイスラエルに勝ち目がないことは明白です。イスラエルのほうが多いのは、石炭消費量だけですが、これはもちろん特に戦時でエネルギー資源の希少性が高まったときには、少ないほうが有利です。
なお、天然ガスの消費量はイランのほうが約23倍とはるかに多いのですが、しかしその消費量は国内で生産している量より少なめにとどめています。