ここで問題になるのが、中国の軍需産業もまたけっこう割高な兵器を量産しているという事実です。さらに突っこんで言えば、アメリカの国防総省のお偉方たちが諸外国と比べてもとくに軍需産業に甘い発注をするのは、アメリカがワイロ万能社会だからです。

パランティア自身が長い赤字垂れ流し期間をCIA直属のベンチャーキャピタルからのミルク補給で生き延びてきた企業なので、それはなかなか言いにくいことではありますが。

もうひとつのポイントは、「軍需も民需も」という手広い経営をしている企業は、ワイロを渡す相手も広く分散しています。つまりロビイング投資の効率が悪いのです。

最近、アメリカでは非常に巨額の時価総額を謳歌する企業でも専門として特化する分野が極端に狭いというケースが増えていますが、これもまたロビイング投資効率の問題でしょう。

アメリカの軍需産業がどんどん弱くなり、世界的な技術競争についていけなくなっている最大の理由は、幅広い顧客層を失ってしまったからではなく、ロビイングさえしておけば楽をして儲けつづけることができるので、技術革新への意欲も低下しきっていることでしょう。

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編集部より:この記事は増田悦佐氏のブログ「読みたいから書き、書きたいから調べるーー増田悦佐の珍事・奇書探訪」2025年8月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「読みたいから書き、書きたいから調べるーー増田悦佐の珍事・奇書探訪」をご覧ください。