トランプは例によって「フォルドウのウラン濃縮施設は完璧に抹消した」と大口をたたきましたが、これは自慢というより、イスラエル政府に対する「これ以上何もする必要がなくなった」という言い訳でしょう。
バンカーバスターがすっぽり換気孔の中に収まって摩擦による破壊力低下もなく無事ウラン濃縮施設まで届くという奇跡のような幸運に恵まれなければ、最大貫通深度61メートルの爆弾で地下78~98メートルにある濃縮施設を破壊するには、まったく同じ地点に2発バンカーバスターを立て続けに投下する必要があります。
ある軍事アナリストは「やりもせずに不可能と断言することはできないが、今まで実戦状況の中で一度も試されたことのない高度なテクニックと幸運を要する作戦だ」と述べています。つまり無理に決まっているということです。
イランの反撃は果敢だった
「真夜中の金槌」作戦に対するイランの反撃は迅速かつ果敢で、中東諸国に置かれた米軍基地の中で最大のアルウデイド空軍基地に十数発のミサイルを撃ちこみました。
その大多数は意図的に近隣の空き地に着弾させたのですが、1発はこの空軍基地の中枢神経とも言うべき場所を直撃したのです。
この点については、まずトランプの説明から見ていきましょう。
イラン側から連絡があった。「自国の原子力施設にあんなに大きな被害が出たのに、何の報復もしないと、国民に腰抜けと非難される。だから、アルウデイド基地そばの空き地に十数発ミサイルを撃たせてくれ。絶対に実害が出ないようにするから、これで手打ちということにしてくれないだろうか」ってことだった。
実際に、義理堅く、1発残らず何も置いていない空き地に着弾したので、それでいいことにしてやった。
真相はどうだったのでしょうか。その答えは次の4枚組写真にはっきり出ています。
アルウデイド基地の中心部に構築されたレイドーム(レーダードーム)という全方位パラボラアンテナとその操作を行う管制指令室の入った球形の建物だけがきれいに破壊されて、その他の建物はまったく無傷で残っているのです。