さらに重要なポイントとして、この実験に使われたパンテテインやアミノ酸などの物質はすべて、炭素・水素・窒素・酸素・硫黄といった地球上で一般的に存在する基本的な元素でできています。
いわば「生命のレゴブロック」とも言える単純な化学物質だけで、生命につながる複雑な反応を起こせることが証明されたのです。
研究チームは、この反応が広大な海のような薄まった環境ではなく、池や湖などの狭く濃縮された環境で起きやすかったのではないかと考えています。
また論文では、こうした反応が凍結によって成分が濃くなった水溶液や、リン酸塩(生命にとって重要なミネラル)を含んだ環境で特に起こりやすくなる可能性も示されています。
これは、初期の地球が氷に覆われたり、水が蒸発して濃くなった環境で生命の最初の一歩が踏み出された可能性を示唆しています。
【まとめ】RNAとアミノ酸の「最初の出会い」を再現
今回の研究は、「生命はどのようにして地球に誕生したのか?」という、人類が抱き続けてきた大きな謎を解くための重要な前進を示しています。
この謎を解くカギの一つは、生命を支えるタンパク質がどのようにして初めて作られたのかを理解することです。
タンパク質は、生き物の身体や機能をつくるための中心的な存在ですが、それ自体はDNAやRNAの情報がなければ生まれることができません。
タンパク質はアミノ酸が一定の順序でつながった分子ですが、このアミノ酸をどの順序でつなぐかという設計図の役割を担っているのが「RNA(リボ核酸)」という分子です。
これまでは、アミノ酸をRNAにつなげるという重要なステップは、生物の細胞にある特殊なタンパク質(酵素)がなければ起こらないと考えられていました。
しかし、最初の生命が誕生した頃には、こうした便利な酵素は存在しなかったはずです。
そのため、多くの科学者が「RNAにアミノ酸を自然につなげる方法」を模索してきましたが、長い間うまくいきませんでした。