3は、悪いのは自民党であって石破首相ではないという理由で、これがもっとも多く、7割近くに達する。石破首相は長らく自民党内の反主流で、また離党していたこともあり、多くのリベラル論客と対談をしたりして自民党内ではリベラル色が強い議員の一人である。それゆえリベラル陣営からすると自民党本体と石破首相を切り離して評価することが可能である。実際、立憲民主党・共産党支持者だけに限ってグラフを描くと、3を理由に挙げる人が75%まで増える。
4は石破首相が辞任すると、(例えば高市氏など)保守色の強い政権ができかねないので、石破政権が続くことを望むという考えである。これに近い考えはすでに何人かのリベラル論客からあがっており(例えば古谷氏※4))、ここでも4割近い人が理由として挙げている。立憲民主党・共産党支持者だけに限ると5割近くまで増える。
まとめると、リベラル陣営が石破首相の辞任を望まないのは、石破氏がリベラル的で自民党内ではまだましな方であり、これが倒れるともっと保守よりの政権ができてしまうと思っているからと考えらえる
こうして現時点で石破首相に辞めなくてよいと思っているのはリベラル陣営である。これを確かめるために、最後に、石破首相に辞任を求める人と求めない人に分けて、保守・リベラルの政治傾向(思想)の分布を描いてみよう。保守・リベラルの測定方法は前のノートのとおりである※5)。図5がその結果である。
横軸は保守リベラルの度合いで、右に進むほど保守で、左に進むほどリベラルである。黒の実線が辞任すべきと答えた人の分布で、赤の点線が辞任すべきでないと答えた人の分布である。見てわかる通り、辞任すべきでないと答えた赤の点線の分布の方が左側すなわちリベラル側にある。辞任すべきという人の黒の実線は右側にあり、特に右端のこぶができているあたりでは、辞任すべきと言う人が多く、強い保守層に石破首相は辞任すべきという人が多い。