
首相官邸HPより
2025年8月、参議院選挙後の政党支持、内閣支持は奇妙な状況にある。衆議院選挙、都議会選挙、参議院選挙と3連敗した自民党の支持率は、新聞各社の調査で20%程度に低迷している。自民党内では石破おろしの声が吹き荒れ、両院議員総会では事実上、総裁選の前倒しを決定した。
その一方で、石破内閣の支持率は30%を越えて安定しており、直近ではむしろ上がったという報告もある※1)。規模は小さいが石破辞めるなというデモも行われた。自民党支持者に限った時の内閣支持率が6割以上という報道が出たこともある※2)。選挙で3度も負けて両院で過半数を割れば内閣支持率は下がり、退陣に追い込まれるのが通例であるが、それがなかなかおこらない。
これはなぜであろうか。本稿の目的はこれを調べることである。結論は簡単で、いま石破内閣を支えているのはリベラル側であることが原因である。保守リベラルの政治傾向を調べると、リベラルの人が石破首相は辞めなくてよいと答え、保守の人が石破首相は辞めるべきと答えている。保守政党である自民党の党首をリベラルが支えるという異例な状態が生じている。
1. 石破首相の続投を望んでいるのはどのような人か
調査は2025年8月10~12日にウェブモニター調査で行われた。昨年衆議院選挙直後(24年10月)、今年の参議院選挙直後(25年7月)、そして今回(25年8月)と調査は3回繰り返しており、同じ人に聞いているため追跡が可能である。対象は18歳~79歳までの1855人で、トラップ設問で不適切回答は除いてある。
なお、ウェブ調査では回答者が若年層に偏るので、回答者の年齢別構成が人口×投票率の比率に等しくなるようにウェイトをかけて調整した。投票率も乗じたウエイトなので、若年層が投票に行かないなど投票率の差を反映した結果をみることができる※3)。
まず、石破首相は辞めるべきかどうかを尋ねた。図1がその結果である。辞任すべきと思うと答えた人が46%、辞任すべきと思わない人が42%で拮抗する。各新聞社の世論調査でも似たような結果が出ており、辞めなくてよいと言う意見が一定量みられる。3度にわたり選挙に敗れ、自身が率いる政党の支持率が20%程度しかない政党の党首に対して、総理を辞めなくてよいという声が4割もあるのは異例である。