プロ選手経験のない監督がJクラブを率いるケースは前例がないわけではないが、大学院時代からコーチ学を学んだ菅原氏が監督となれば、データ分析と戦術を融合させた、近代的なサッカーを披露するのではという期待もある。豊富な経験と指導哲学は、どのカテゴリーのクラブにとっても大きな武器となるはずだ。Jリーグに新たな潮流を生み出す可能性を秘めた注目の指導者である。


現在、J1クラブ監督の平均年齢は52.05歳と“高齢化”の状態にある。これはイングランドのプレミアリーグ(47.85歳)、ドイツのブンデスリーガ(46.67歳)と比較しても高い。Jリーグ全体を見渡しても、最年少はJ3相模原のシュタルフ悠紀リヒャルト監督の41歳だ。

28歳にして、ブンデスリーガのホッフェンハイムの指揮官に抜擢されたユリアン・ナーゲルスマン監督(現ドイツ代表監督)の例は特別だとしても、日本代表MF三笘薫が所属するブライトン・アンド・ホーブ・アルビオンのファビアン・ヒュルツェラー監督は就任時に31歳で、プレミアリーグ史上最年少記録だった。

日本では2021シーズン、当時JFLの奈良クラブの監督にフリアン・マリン・バサロ監督が31歳で就任し、2022シーズンにJFL優勝と2023シーズンからのJ3昇格を達成。2023シーズンのJ3開幕戦を33歳8か月20日で指揮を執り、シュタルフ監督(当時AC長野パルセイロ)の記録を塗り替え、Jリーグ史上最年少監督となった。日本人指導者もJリーグに新たな風を吹き込むことが期待される。