川崎フロンターレの「バンディエラ」として、J2時代から18年間(2003-2020)のプロキャリアを1つのクラブに捧げた中村憲剛氏。卓越した技術と戦術眼でクラブに悲願のJ1初制覇を含む数々のタイトルをもたらし、Jリーグの歴史にその名を刻んだ。彼のプレーは「止める・蹴る」という基礎技術の重要性を、日本サッカー界全体に再認識させたと言っても過言ではない。

2020年の引退後、解説者としてサッカーを俯瞰する視点を養う一方、2021年末にJFAロールモデルコーチ就任が発表され、2022年から育成年代の指導に情熱を注いできた。2023年にProライセンスを取得し、指導者としてのキャリアを本格化させている。

中村氏の指導の根幹にあるのは、選手時代から一貫している「技術へのこだわり」と「考える力」。2024年に公開されているインタビューでは、「素直さ」「傾聴力」「継続力」の3つを選手が成長するためのキーワードとして挙げており、人間教育にも重きを置く指導者像がうかがえる。

同氏が監督に就任すれば、ボールを大事にし、選手一人ひとりが思考しながらプレーする、技術と戦術が融合した魅力的なポゼッションサッカーを展開することが大いに期待される。いずれは川崎の監督へという声は当然、根強いが、まずは彼がどのようなチームを作り上げるのか、その第一歩を心待ちにしているファンは多いはずだ。

久保山由清 写真:Getty Images

久保山由清(49歳)2022年JFA Proライセンス取得

横浜フリューゲルス最後の試合(1999年1月1日天皇杯決勝/国立競技場2-1)で清水エスパルス相手に得点を挙げ、優勝に貢献した久保山由清氏。当然ながら合併相手の横浜F・マリノスからのオファーもあったが、奇しくも清水からもオファーを受け、出身の静岡に戻ることを決意。1999シーズンのセカンドステージでクラブ初のステージ優勝に導き、同年のJリーグアウォーズ優秀選手賞を受賞した。