ピッチ上の指揮者であった中村氏が今度はベンチからチームを率いる姿を、ファンは心待ちにしている。「監督・中村俊輔」の誕生は、Jリーグに新たな興奮と戦術的な深みをもたらすに違いない。


阿部勇樹 写真:Getty Images

阿部勇樹(43歳)2024年JFA Proライセンス取得

ジェフユナイテッド市原・千葉時代(1998-2006)に日本代表デビューを果たしていた阿部勇樹氏だが、そのサッカー人生に大きく影響を与えたのは、2003年に新監督として来日したイビチャ・オシム氏(2022年に80歳で死去)との出会いだろう。

千葉ではもちろん、その後に日本代表監督となった同氏の下で“オシムチルドレン”として活躍。その後に移籍した浦和レッズ(2007-2010)では、2007シーズンに主将としてACL(AFCチャンピオンズリーグ)制覇に貢献し、2010年には当時イングランド2部のレスター・シティでもプレーした。ボランチやセンターバックとして高い戦術眼とリーダーシップを発揮し、2021年に惜しまれつつ現役を引退した。

引退直後から指導者としての道を歩み始め、古巣・浦和のユースコーチに就任。さらに、2022年からはJFAの「ロールモデルコーチ」として、U-17日本代表などのアンダー世代の指導に携わっている。ロールモデルコーチとは、自身の経験を若い選手たちに伝える役割であり、内田篤人氏や中村憲剛氏ら、日本代表で活躍したOBも同様の役割を担ってきた。この経験を通じて、次世代のトップ選手たちと向き合い、指導者としての視野を広げている。

阿部氏には、選手時代に培った戦術的インテリジェンスと、若手育成の現場で得た経験という大きな強みがある。彼のチームは、攻守にバランスの取れた、組織的でインテリジェントなサッカーを展開するのではないだろうか。浦和のレジェンドとして、監督就任待望論も大きいが、まずはカテゴリーを問わず、その手腕をJリーグの舞台で見てみたい指導者の1人だ。


中村憲剛 写真:Getty Images

中村憲剛(44歳)2023年JFA Proライセンス取得