教授:北海道の信用金庫で見ると株式保有が少ないね。経験と知識が少ないのだろう。事前に信用調査の必要のまったくない国債を黙々と買い、ただ保有する。これは頭の古い経営者のよくあるパターンだ。若い知識のある経営者に早くバトンを渡さないといけないね。
外国債は為替も絡んでくるから難しいけど、ここにも視野を拡大していく必要がある。良い例がある。川崎信用金庫の保有する有価証券はほとんどが外債だ。これは極端なのかもしれないが。
ワタナベ君:外国為替相場の研究も必要。外債を扱うには勉強が必要です。北海道内でとひとつだけ積極的な信用金庫がありますね。ところで、政策金利の上昇で利ザヤが拡大し金融機関の収益が改善するというのはホントでしょうか。
教授:固定金利で貸していれば恩恵はない。総貸出に占めるその比率はかなりバラついているが、30~90%。まあ半分はそうだから本業利益の増加はそんなに見込めない。問題は金利が上昇した状況下で貸出先を増やせるかだ。
ワタナベ君:そこで創業支援活動などが注目されるのですね。『信用金庫』の8月号にも3つの信用金庫の活動が紹介されていますが、中心は創業セミナーや相談事業など、つまり融資の前段です。
教授が主張されているように、創業運動に期待しすぎるのは問題が多い。セミナーの講師も多くは外部のお雇いです。信用金庫に就職した人が創業精神に溢れているとは、なかなか考えにくいですから。ベンチャーブームに迎合しているだけ、というのは少しきついかな。教授がいつも言うように、既存の中小企業対策が優先されるべきです。
教授:貸出について気になることがある。伸ばしているところを見ると、多くが不動産関連なんだ。消費者ローンなどと違って一件当りの金額が大きいから貸出側には魅力的なのはわかるけど、過去の信用不安・金融恐慌の原因の多くは不動産ローンだ。サブプライム問題はまさにそうだった。
北海道の地方の信用金庫が札幌支店を開設する。その目的は、札幌市および近郊に土地を持っている顧客の追っかけ。(これは言い過ぎ!)彼らを説得・勧誘して所有地にマンション・アパートを建てさせ、それに融資する。スルガ銀行の「カボチャの馬車」を思い出すね。シンデレラでなくオーカミが乗ってたら怖いね。