DNAやタンパク質を修復するための遺伝子はありましたが、これはプロメテアルケオタに広く見られる標準的なもので、特別な仕組みが加わっているわけではありませんでした。
さらに興味深いことに、この6系統からは、検出可能なほどの遺伝子の変化や進化の痕跡がほとんど見られませんでした。
これはつまり、この微生物たちが長期間ほとんど増殖せず、活動も最低限にとどめていたため、進化的な変化が起こる機会も非常に少なかったことを意味しています。
例えるなら、人が住まなくなった古い家でも、壊れた部分をほんのわずかずつ丁寧に修繕していけば、ほぼ元の形を維持したまま長く残るのと似ています。
このことから研究チームは、今回発見したプロメテアルケオタは特別な仕組みや遺伝子によって長寿になったのではなく、「ごく基本的な遺伝子を使って傷を最小限に修理し続ける」という、地道で粘り強い生き方によって長い年月を耐え抜いてきたと結論づけました。
今回の発見は、「生命がどのように長い時間を生き抜くのか」という謎を解き明かす上で非常に重要な手がかりを示しています。
増えず食べず、ただ修理だけする微生物の生き方
今回の研究が示した最も重要なことは、微生物がほとんど増殖せず、必要最低限の活動だけを続けることで、驚くほど長い年月を生き延びる可能性があるという点です。
私たち人間を含め、一般的な生物は定期的に栄養を取り、細胞が分裂して新しい細胞に置き換わることで命をつないでいますが、今回発見されたプロメテアルケオタは、それとはまったく異なる戦略を取っていました。
彼らはエネルギーを使って活発に増殖したり、環境に適応するために新しい仕組みを進化させたりすることはほとんどせず、ただ静かに、自らのDNAやタンパク質に生じるわずかな傷を修復することだけにエネルギーを使っていたのです。
人間の感覚に例えるならば、「自動車のエンジンを止めずに、最も燃料を節約するアイドリング状態で、長い渋滞の中をゆっくりと耐え忍ぶ」ようなものです。