昭和史上で日本人はなんども、信じるものを変えてきた。しかし「俺は別に悪くない」(=他の誰かが悪い)として自分を甘やかし、無謬のポジションに居続けようとする姿勢だけは、まったく変わっていない。

そんな鮫島伝次郎でいることをやめ、敗戦ですら改まらなかった虫のいい性根を直して、正しい意味で日本人が「変わる」ことはありえるか。

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よく誤解する人がいるけど、「主張を変えること」自体は別に悪くない。大事なのは、変える以上は前に言ったことは「まちがっていた」、その誤りの責任を、自分が引き受けるか、他人に押しつけるかの違いなのだ。

歴史修正主義が非難されるのも、調べたら過去の解釈がまちがってました、すみません、という意味での “修正” ではないからである。むしろ、自分たちは常に正しい、だからそれに沿う形で過去を「つまみ食い」しようぜ、とする姿勢に、問題の本質がある。

ぼくらは税ではなく、「歴史を無視するコスト」を払い過ぎている。|Yonaha Jun
3/29の『朝日新聞』夕刊に、歴史学者の成田龍一先生との対談記事が掲載されました。紙面に入りきらなかった部分も補足して、より充実させたWeb版(有料)も出ています。 訂正(3月31日 22:00) リンク先を、増補された版に差し替えました。
歴史のつまみ食いは陰謀論への道 対談・成田龍一さん×與那覇潤さん:朝...

さて、コロナでもジャニーズでもやってきた鮫島伝次郎だが、いま「鮫島化」に向けてアップを始める人が多いのが、ウクライナ戦争である。当初の想定と違う終わり方が、見えてきたからだ。

たとえばヒラリー・クリントンが、トランプがノーベル平和賞を受ける可能性に言及し、日本でも話題だが、