ヒラリー氏は条件として「ウクライナの領土を渡さないこと」とし、ノーベル賞推薦について「私の目標はプーチン氏への屈服を許さないことだからだ」と述べた。
産経新聞、2025.8.18
「領土を渡さない」が、①全占領地からのロシア軍の撤退を指すなら、実現する可能性はない。逆に②占領を容認しつつ、ウクライナ領だというタテマエだけ維持すればいいとの趣旨なら、従来の米民主党政権の立場と矛盾した「こっそり転向」になる。つまり、中身のない発言だ。
実は②は、1967年の第三次中東戦争の調停の際、イスラエルによる「占領は不法だが、事実上は黙認」とされて以来放置されている、ヨルダン川西岸(やガザ地区)とほぼ同じ扱いになる。で、ウクライナ東南部もそうなるのでは? とする憶測記事も、近日出てきた。
もう「ロシアがイスラエルで、ウクライナはパレスチナみたいなもんだ」と見なそう、という形で①戦争が “終わる” 可能性は、どれほどあるのか。次に②そうした “平和” の価値を、私たちはどう評価すべきか。
こうした問いを考えるのが、本来は専門家の仕事なのだが、その姿をとんと見ないのは、どういうことだろう。いまなら「ヒラリーに乗っかって」転向するチャンス! みたいなセンモンカは、ちらほら見かけるのだが。

2025.8.19 ヒラリー記事の翌日ですね。
時に、「ロシアの犯行!」と断定する人もいたノルドストリーム爆破事件(2022年9月)は、ついに今年の8/21、ウクライナ人容疑者が逮捕されてしまった。ドイツに移送されるので、即決処刑ではなく裁判が始まるから、色々出てくるだろう。まちがえた人はどうするんですかね。

戦時に誤りを発信した専門家に「軍法会議」はないのか|Yonaha Jun
8月15日の終戦記念日にあわせて、前回の記事を書いた。実際には兵站が破綻しているのに「あるふり」で自国の戦争を続けさせたかつての軍人たちと、本当は(信頼に足る)情報なんて入ってないのに「あるふり」で他国の戦争を煽り続ける専門家たちは、同類だというのが論旨である。
とはいえまさか、ここまで即座に「そのもの」の事例が飛...