デジタル民主主義の質を考える上で、この問題を見過ごすことはできません。
もっとも、この研究にも留意すべき限界があります。
調査で使われた性格テストは自己申告式のアンケートであるため、参加者が自分をよく見せようとしたり、正直に答えなかったりする可能性があります。
また、認知能力の測定には語彙テストという1種類のテストしか使われていないため、知能のすべての側面を測れているわけではありません。
それでもこの研究は、「ネット上の政治を動かしているのは誰なのか」という重要な問いに新しい視点を与えました。
研究チームは、オンライン政治活動が特定の性格や認知能力を持つ人々に偏りすぎることを懸念しています。
そして、ネット上での議論がバランスよく行われ、多様な人が安心して参加できる仕組みを整える必要性を指摘しています。
社会としても、この研究結果を参考に、「オンラインで政治の声を上げているのはどんな人か」を正しく理解し、より建設的で健全な議論の場を作っていくことが求められています。
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元論文
Dark personalities in the digital arena: how psychopathy and narcissism shape online political participation
https://doi.org/10.1057/s41599-025-05195-y
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部