また8カ国のうちインドネシアを除く7カ国で認知能力の低いほどオンライン政治参加の頻度は高い傾向にありました。
(※インドネシアでも認知能力の高さとオンライン政治参加の頻度は相関係数がマイナスになりましたが、統計的な有意性はないと判断されました)
これは認知能力が高い人が情報を冷静に分析して、「すぐに投稿してしまうのは良くないかもしれない」と慎重に考えてしまうためだと考えられます。
さらに、研究チームはこれらの性格や認知能力の組み合わせが、政治参加にどのように影響するかも調べました。
すると、サイコパシー傾向が高く、しかも認知能力が低い人が複数の国で最もオンライン政治活動が特に活発になる傾向があるとわかりました。
これは、衝動的な性格(アクセル)が強く働く一方で、それを止めるための冷静な判断力(ブレーキ)が弱いため、SNS上で積極的に発言を繰り返すようになるのではないかと推測されます。
一方で、国による違いも発見されています。
アメリカ、フィリピン、タイの3か国では、ナルシシズム(注目されたい気持ち)が強い人ほどオンライン政治活動が活発になりましたが、中国やシンガポールなど他の国では、このような傾向は見られませんでした。
これは文化の違いによって、「自己主張をすることが良いことかどうか」という社会的な価値観が違うためだと考えられます。
加えて興味深いことに中国だけは逆で、サイコパシーが高い人ほど、認知能力が高い層でむしろ政治的発言が増える傾向が見えました。
つまり中国では、ブレーキが強い人でも、アクセルが入ると発言が伸びやすい形です。
これは中国特有の文化や政治的な環境が影響している可能性があり、興味深い結果となりました。
一方、アメリカやシンガポール、フィリピンでは、サイコパシーと発言の結びつきは認知能力が高い層では弱まり、はっきりとは言えない程度になります。
マレーシアも、認知能力が低い層ほどこの結びつきが強く表れました。