3つ目は、「冷静に考え、情報を判断する力(認知能力)が高い人は、ネットの政治参加に消極的になるのか?」

です。

これを調べるために、研究チームは各国の18歳以上の男女合わせて約8,000人を対象に、大規模なアンケート調査を行いました。

調査では、まず参加者の性格タイプを詳しく調べました。

特に注目したのは、「サイコパシー」「ナルシシズム」「FoMO(取り残され不安)」という性格傾向です。

「サイコパシー」は、自分勝手で衝動的な性格で、他人への思いやりや配慮が少ない傾向を指します。

「ナルシシズム」は、自分を特別だと考え、他人から注目されたいという気持ちが非常に強い性格のことです。

「FoMO(取り残され不安)」とは、「みんなが話題にしていることを自分だけが知らないのが不安で、仲間外れを恐れる」心理状態のことです。

次に、「認知能力」について調べました。

「認知能力」とは、情報をよく考えて判断したり、問題を冷静に解いたりする力のことです。

たとえば、ニュースやSNSで見た情報が本当に正しいかを、落ち着いて判断できる力と考えると良いでしょう。

そして、アンケートでは、それぞれの参加者に「SNS上で過去1年間にどのくらい政治的な投稿をしたか」を答えてもらいました。

例えば、政治に関するニュースや意見を投稿したり、誰かの政治的な意見にコメントしたり、シェアしたりといった行動をどのくらいしたかを尋ねました。

その結果、サイコパシーの傾向が強い人ほど、8か国すべてでオンライン政治活動が活発になることが明らかになりました。

つまり、自分勝手で衝動的な行動をとる人は、SNS上で政治の話に特に積極的に参加しやすかったのです。

また、FoMO(取り残され不安)が強い人も、オンラインでの政治参加が多くなる傾向が全ての国で共通して見られました。

周囲が政治的な話題をしている時に、自分だけ参加しないのは不安だという気持ちから、積極的に発言や投稿をしていた可能性があります。