政治の話題でも同じように、自分だけ議論に参加できないと感じると、焦りや不安を感じてしまう人がいます。
そうした人は、「とりあえず参加しておこう」と、軽い気持ちで政治の話題に参加してしまう可能性があるのです。
一方で、人間にはこうした衝動や不安を抑えるための力もあります。
それが「認知能力」、つまり「冷静に物事を考え、判断する力」です。
「認知能力」は車で例えるとブレーキの役割を果たします。
ブレーキがよく効く人は、すぐに感情的になったり、勢いだけで行動したりすることが少なく、よく考えてから発言します。
反対に、ブレーキが弱い人は、感情に流されて衝動的に発言してしまいやすくなります。
つまり、オンライン上で政治的な発言をするかどうかは、「ダークパーソナリティ」や「FoMO」といった衝動や不安という「アクセル」と、冷静な判断力という「ブレーキ」のバランスによって決まる可能性があります。
では実際に、ネット上の政治活動には、どのような人が積極的に参加しているのか?
また、性格と認知能力の関係は、文化や国によって違いがあるのか?
今回の研究チームは、この点について、多くの国々の人を対象にした詳しい調査を行うことにしました。
認知機能の低さとネット上での政治的活発さ

研究チームは、8つの国の人々を対象にして、ネット上でどのような人が政治的な発言をしているのかを詳しく調べました。
調査を行った国は、アメリカ、中国、シンガポール、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムです。
今回の調査で特に調べたかったのは、3つのポイントです。
1つ目は、「ダークな性格(サイコパシーやナルシシズム)が強い人ほど、ネット上で政治に熱心になるのか?」
2つ目は、「周囲の話題から取り残されることを強く不安に感じる人(FoMO)が、ネット上の政治議論に参加しやすいのか?」