「引き分けで終わった戦争は、より早期に再開する傾向がある一方、明確な勝者と敗者で終わった戦争は、より安定した平和を生み出す傾向がある」。例外は、グアテマラとホンジュラス、エルサルバドルの1906年の中央アメリカ戦争。この戦争は再開しなかった。印パ戦争や一連の中東戦争は停戦後、何度も再開した(pp. 85-90)。

「他の条件が等しければ、戦死者数が多い戦争ほど再開されるリスクは低下する」。まさに身の毛もよだつほどの戦死者をだした朝鮮戦争やヴェトナム戦争、イラン・イラク戦争は幸いにも、一回限りの大惨事で済んだ。イスラエルはレバノンへの軍事介入が泥沼化したことで、戦死者の増加に懸念を募らせて、行動を制約するようになった(pp. 90-92)。

「領土をめぐる戦争は再燃しがちのように思われるが、必ずしもそうではない」。中印戦争やエルサルバドルとホンジュラス、エチオピアとソマリア、イランとイラク、イギリスとアルゼンチンの間の戦争は、領土紛争が解決されなかったが、戦争の再開には至っていない(pp. 103-112)。

「紛争に賭けるものが大きければ、平和の維持は難しくなる」。事例としては、交戦国の存立がかかった第一次中東戦争や六日戦争が挙げられる。隣国同士で高くつかない戦争が再開した事例は、第一次中越戦争である。これは1986年と87年の大規模戦争にエスカレートした(pp. 103-112)。

「交戦国が近接していない戦争は再発しにくい」。この事例としては、朝鮮半島とヴェトナムにおけるアメリカ、シナイ戦争後のイギリスとフランス、フォークランド戦争のイギリスがある(pp. 103-112)。

ウクライナ戦争後の展望

このフォトナ氏の研究は、ウクライナ戦争の終結について、何を語るのでしょうか。

・明確な勝敗

第一に、ロシアとウクライナが明確な勝敗なくして停戦に至っても、それを簡単には持続できそうにないことを示唆しています。その主な理由は、プーチン政権という国内政治要因というより、両国が相対的パワーを正確に認識できないことによります。