第二次世界大戦を論じる体制派の著述家は、過激な推測を好む傾向があります。

たとえば、「もしアメリカが戦争に参加していなければ、ヒトラーが世界を征服していただろう」というものです。(これは赤軍の評価を過小評価しているように思われます。さらに、世界征服を企てていたのは日本ではなかったのでしょうか?)

では、この事例に仮想の歴史を考えてみましょう。

太平洋戦争が、通常の戦争が終わるように、降伏条件の交渉によって終結したと仮定します。さらに最悪のケースを想定し、日本が帝国の一部(たとえば朝鮮半島や台湾、さらには満州)の維持を頑固に主張したと仮定します。この場合、日本は、中国で共産党が政権を取るのを阻止できた可能性があります。そしてそれは、毛沢東政権によって引き起こされたとされる3,000万から4,000万人の死を防いだ可能性があるのです。

しかし、1945年当時の外交の範囲内だけを考えても、トルーマンが原子爆弾に頼らずに戦争を終結させるための努力を尽くしたとは到底言えません。

日本人は、自分たちが「人類が発明した最も致死的な兵器(トルーマンがヒロシマ攻撃を発表した際に『これまで戦争で使用された最大の爆弾である英国の”グランドスラム”の2,000倍以上の爆発力を持つ』と自慢した兵器)」の被害者となることを知らされていませんでした。

また、ソ連が日本に対して宣戦布告する予定であることも伝えられていませんでした。この事実は、東京の一部の人々にとって原爆よりも衝撃的でした。

計画に関わった科学者の中には、無人または避難済みの地域でその威力を実証すべきだと訴える者もいましたが、その提案は退けられました。

重要なのは、無条件降伏を形式的に維持し、その実施で失われる可能性のある兵士の命を救うことだけでした。

しかし、20世紀を代表する軍事史家のJ.F.C.フラー少将は、原子爆弾投下について次のように書いています。