私は同時に130年間で0.75度の上昇ならば、それは「温暖化」でもないと考えるが、IPCCはじめ世界の大半の国や研究機関がこれを「温暖化」の前兆として、その延長線上の2100年には2度や3度の気温上昇をシミュレーションによりはじき出し、危機を高唱するようになった。
トランプ政権は「地球温暖化」の関する「パリ協定」から脱退
ただし、二酸化炭素地球温暖化論に疑問を持つトランプ大統領のアメリカもまた、過激な左派が掲げるグリーン・ニューディール政策に反対して、「パリ協定」から再び脱退した。これは世界的には例外に属する。
地球寒冷化ならば食料危機で利害対立
「危機の高唱」の理由は何か。おそらく「地球寒冷化」ならば、それがもたらす身近な飢餓や忍び寄る食料問題が大きなテーマになるからであろう。
そうなれば、国連に集う世界200か国の足並みがそろいにくく、命に直結する食料の問題だけにそれぞれの国で自国最優先が標準化されてしまう。同じグローバル資本主義経済下でも、食料をめぐる完全競争の結果、南北間ないしは東西間での厳しい淘汰が避けられなくなり、国連の機能不全がますます強まるだけになる。
50年先の地球温暖化なら国連主導の世界協調が打ち出せる
しかし、少なくとも現世代(40歳代から70歳まで)の為政者が直面しない2050年や2100年ならば、建前としての声高な自国優先主義(ナショナリズム)は収まり、曲がりなりにも国連主導により世界協調の姿勢(コスモポリタニズム)を示し合うことは可能である。
IPCCは国連の機関なので、途上国への支援という価値理念は不可欠だから、いわばUnited Nationsの最終的手段として、敵としての「二酸化炭素地球温暖化」が仕立てられたのではないか。そしてその延長上には自然環境でさえグローバル資本主義のフロンティアになりえるし、積極的な投資もまた良しという空気が醸成されている。