他責傾向のある社員を自責思考へと転換させるには、社員の自責思考を育むためのマネジメント手法やポイントに加え、組織全体で共有すべき考え方があります。
これらを日頃から浸透させるように努め、自責の文化を育んでいきましょう。
組織の利益が個人の利益につながる他責の姿勢は、組織全体の成果よりも個人の短期的な利害や責任回避を優先する思考から生じます。
このような事態を避けるためには、「まず組織全体の利益があり、そこから個人の利益がもたらされる」という考えを全社員が持つ必要があります。
「組織全体の目標達成が最優先であり、その達成への貢献度に応じて個人の評価や処遇が決定される」という明確な原則を、評価制度や報酬体系といった具体的な仕組みを通じて組織内に徹底的に浸透させなければなりません。
部下から嫌われることを恐れない人は誰でも、所属するコミュニティのなかで他者から認められ、「存在意義」を感じたいと願っています。
組織内でも同様に、先輩は先輩として、後輩は後輩としての役割を果たし、自身の存在価値を確立しようとします。
この存在意義の追求が、業務指導や目標管理といった仕事を通じて健全に行われるのが理想です。
しかし、ときには人間的に好かれたいという思いから、上司が部下に対して必要以上に甘い態度をとってしまうケースも見受けられます。
そのような態度は組織の規律を緩めて適度な緊張感を失わせ、他責や言い訳が生まれやすい環境を作る要因となるでしょう。
上司は、部下に好かれるよりも、組織の成長に必要な指導を優先すべきです。
変数を理解する世の中には、自分の力で変えられることと、変えられないことがあります。
他責思考の人は、しばしば「自分の力ではどうにもならない」と感じ、物事の原因を他者や環境などの変えられない要素のせいにしてしまいがちです。
ここには、自分でコントロール可能な「変数」を見つける視点が欠けています。