しかし、他責思考の人がいると問題の本質が見えにくくなり、原因究明が困難になります。

その結果、リスクに対する責任の所在が曖昧になり、効果的な再発防止策を立てられず、同じ失敗を繰り返すことにもなりかねません。

他責の社員が生まれる原因

他責の思考は組織にさまざまな悪影響を及ぼすため、その芽を早期に摘む必要があります。

ここでは、他責の社員が生まれる主な原因を見ていきましょう。

特定の人が作る独自のルールがある

組織にはしばしば社歴が長い人が作る「マイルール」が存在する場合があります。

例えば職場のお茶汲みは新人が行う、難易度が高い業務はベテランの〇〇さんに任せるなどです。

マイルールは一部の人の感情や、こだわりから生まれる傾向があります。

そのルールが作成者の責任逃れを助長するような内容である場合、問題発生時に「自分のせいではない」と言い訳をしやすくなり、他責の思考を育む土壌となってしまうのです。

部下に必要な権限を与えていない

組織内で役割に対し権限が不足していると、承認権限がない、あるいは単独で業務が進められないために意思決定が遅れがちです。

その結果、業務の停滞や行動量の不足を「権限がないからできない」と他責の言い訳で正当化し、責任逃れをするようになります。

組織の位置関係が曖昧である

本来、組織は経営者を頂点にリーダー、プレイヤーへと指示系統が明確な「ピラミッド型」が基本です。

しかし、指揮命令系統や責任の所在が曖昧な組織風土では、問題発生時に誰が最終的な責任者なのかが不明瞭となります。

その結果、個人が自身の責任範囲を都合よく解釈し、責任を他者や環境に転嫁しやすくなってしまうのです。

他責の蔓延を防ぎ、結果責任を徹底させるマネジメントの原則

部下の他責的な言動を容認することは部下の成長機会を奪い、組織全体の目標達成を著しく妨げます。

上司は、部下が結果に対して言い訳をする可能性を常に排除し、それを許さない明確なマネジメントを実践する必要があります。