たとえば江藤淳がそう気づいていたら、憤死したかもしれない。幸いに当時は伏せられていたので(富田メモの発見は2006年)、どうにか生きられた。が、平成に入り『昭和天皇独白録』が公刊されて、GHQ時代からの天皇の「内通」を知り、人生を否定されたと感じて自死に向かう。

国が亡び、父が消えたあと、人はどう生きるのか:『江藤淳と加藤典洋』序文③|與那覇潤の論説Bistro
戦後80年の今年4月、特使として米国との交渉に臨む赤沢大臣が、トランプ大統領との対面に感動して「格下も格下」と自称し、MAGAキャップ姿の写真も撮られて、物議をかもす騒ぎがあった。
「大臣は格下じゃない」立民・徳永エリ氏、「格下」発言に苦言 赤沢亮正氏は「理解して」 赤沢亮正経済再生担当相は21日の参院予算...
「大臣は格下じゃない」立民・徳永エリ氏、「格下」発言に苦言 赤沢亮正氏は「理解して」 赤沢亮正経済再生担当相は21日の参院予算...
……それくらいふり返った上で、政治家が靖国に行ってくれるならまぁいいんだけど(いやよくはないか)、もちろんそんな人は誰もいない。「いま」反対する国や勢力があるから、あえてガツンと参拝すれば逆に人気出るんじゃね? くらいの感じで、現在しか見ていない。
という話は、2011年に出した『中国化する日本』にも、21年の『平成史』にも、はっきり書いた。が、安倍談話で「歴史問題はもう解決」してるから、歴史と関係なく靖国に行くのかなっぽいノリの政治家さんまで出てくると、ネタバレされた作者みたいな気持ちである。
多党化が進む政局にせよ、収拾しない靖国問題にせよ、ぼくたちは1970年代の夏休みに「解き損ねた宿題」を、半世紀後のいまもやっている。専門家のはずの歴史学者は、SNSでだけ威勢がよく、なにもしない(苦笑)。