実際に放流を楽しんでいる子どもたちが多いのも事実でしょう。しかし、この放流を「楽しい」としてしまうと、将来的に“ほかの魚も放流するような人”になってしまうおそれがあるのではないでしょうか。
現代の生物多様性への知見は、30〜40年前のそれとは大きく異なっています。その知見をアップデートして、のちの世代につなげていくことがこれから必要とされる教育になるのだと思います。
放流に潜む危険
近年は「自然体験」など称して、子どもたちに海や河川、湖沼などに魚や水生生物を放すことも多くあります。しかしながら「自然体験」で放流を体験してしまうと、「放流はいいこと」という風に思ってしまう人も出てくるかもしれません。
ここまでに挙げたほかにも、未知の悪影響を及ぼす可能性(フランケンシュタイン効果)もあります。
これからは、「自然体験」というのであれば、生物の採集や保全のための池の造成、外来生物の駆除など、放流をともなわない体験をさせるべきではないでしょうか。
放流がどうしても必要であるという場合も、「自然体験」として子どもたちに放流させないようにする必要があると考えます。
参考
・荒俣宏.2021. 普及版 世界大博物図鑑2 [魚類].平凡社,東京.
・藤岡康弘・川瀬成吾・田畑諒一 編. 2024. 琵琶湖の魚類図鑑.サンライズ出版.彦根.
・中坊徹次編. 2018. 小学館の図鑑Z 日本魚類館.小学館.東京.528pp.
・中日新聞 コイの放流 各地で行われているけれど……生態系への悪影響懸念、専門家「環境教育としてもよくない」
・コイヘルペスウィルスに関するQ&A 農林水産省
<椎名まさと/サカナトライター>