実際に、筆者がコイを養殖していた池の中にも、いつの間にかモツゴが侵入していたという事例がありました。
このとき養殖していたコイは屋外の池や河川に放流されることはありませんでしたが、このようにモツゴがコイを飼育している池に入っていると、そのモツゴもコイの放流にまざり、知らぬ間に池や河川に放流されてしまうということが考えられます。
モツゴによく似た種であるシナイモツゴやウシモツゴといった魚もいますが、これらの種は個体数がかなり減少しており、モツゴとの競合などでこれらの種が絶滅してしまうおそれもあります。
タイリクバラタナゴの拡大
また、ほかの魚の放流に混ざって分布を広げた魚としてはコイ科バラタナゴ属のタイリクバラタナゴがよく知られています。
この魚は中国から「四大家魚」と呼ばれる大型食用魚(ソウギョ・アオウオ・ハクレン・コクレン)の導入に伴い日本に入って来たとされています。

強い繁殖力のほか、その後の予期せぬ導入(イケチョウガイなどの貝を導入した際に本種の卵がついていた、タナゴ釣り師や無責任な飼育者による放流)もあるなどしたため、現在は在来の亜種ニッポンバラタナゴを競合や交雑により絶滅させた地域もあります。
筆者の経験では、コイやヘラブナが放流された釣掘のなかに、タイリクバラタナゴが生息していた事例もありました。コイやヘラブナの養殖池の中にタイリクバラタナゴが混ざっていた可能性もあり、これらの魚の放流も、タイリクバラタナゴが分布を広げた一因となっているのかもしれません。
5. 教育的な問題ほか
筆者は、これが一番深刻な問題ではないかと思っています。
ニシキゴイをふくむコイの放流については、漁業権種の放流もありますが、「子どもたちに魚のことについて学んでもらう」という教育の一環として行われていることもあるようです。
また、放流を報じた新聞記事の中では「子どもたちの生き生きした表情」などと、この放流を子どもたちが楽しんでいる様子が浮かぶような表現がなされることが多いです。