コイは日本の文化と深く関わる魚ですが、現在日本にいるコイの多くは、国外から導入された「飼育型」と呼ばれる外来魚です。従来の在来型は琵琶湖の沖合にわずかに残るのみとなっており、その要因のひとつが人為的なコイの放流とされています。この記事では、コイの放流がもたらす問題について考察します。
(アイキャッチ画像提供:椎名まさと)
コイの野生型と飼育型
コイCyprinus spp.はコイ目コイ科コイ属に含まれる淡水魚です。
日本に分布し「コイ」と呼ばれてきたのは長らくCyprinus carpio Linnaeus, 1758とされていましたが、現在は日本のコイは「野生型」と「飼育型」に分けられることが多くなっています。
野生型はもともと日本に生息していたコイです。縄文時代の貝塚から出土した骨やミトコンドリアDNAの痕跡分布などから、古くは関東から九州までの各地に生息していたとされていますが、現在はほぼ琵琶湖にしか見られません。
一方で、飼育型は国外から導入された養殖系統に由来するもので、野生型と交雑することも知られています。また飼育型というのも1種ではなく、複数の系統に由来しているようで、近年はしばしば複数種に分類されることもあります。
野生型と飼育型の違いは?
野生型と飼育型の違いについては、背鰭分枝軟条の数(野生型では約21、飼育型では約18)や体形(野生型は細長く、飼育型は体高がある)、腸の長さ(野生型は飼育型とくらべて短い)などの傾向があります。
しかし、先述したような交雑もあり、この2型を外見から見分けるのはなかなか難しいところがあります。
そのため、野生型と飼育型をあわせて「コイ」とし、このふたつを分けるべきときは「野生型」「飼育型」と表記します。
コイとヒトのあゆみ
コイはユーラシア大陸において広く分布し、古くから食用として、また観賞魚として、ヒトの生活と深くかかわって来た淡水魚です。
