筆者自身も、コイのいる小規模河川と、コイがいないまたは数が少ない小規模河川でそれぞれ採集をしたところ、前者よりも後者の方が魚種や底生生物、水草が多く見られました。これも偶然ではなさそうです。
2. コイがもつ病気の問題
2003年ごろから日本において発生したコイヘルペスウイルスは、コイ(ニシキゴイ含む)に特有の感染症です。
ヒトに感染することはありませんが、水を介して他のコイに感染するという厄介な病気で、死亡率が非常に高いことが知られています。
現在はコイヘルペスウイルス対策として、漁協の許可やコイヘルペスウイルスの検査を要するなど対策がとられていますが、ほかにもどのような病気、あるいは寄生虫を有しているかわかりません。
3. 在来個体群の駆逐
先述したように、現在わが国において、「コイ」と呼ばれる魚には従来から日本にいたもので、俗に「野生型」と呼ばれているものと、「飼育型」と呼ばれているものの、ふたつのタイプがいます。
これらのコイのうち、野生型のものは飼育型により追いやられたらしく、今や琵琶湖に残っているのみと考えられています。しかしながら、野生型のコイ最後のすみかとなっている琵琶湖においても、コイ飼育型が多く見られるようになっています。
基本的に野生型は琵琶湖の沖合に生息するのに対し、飼育型は沿岸に生息するとされていますが、実際には沖合に住んでいる野生型も沿岸で産卵し、産卵後は沖合に戻っていくとされており、交雑する可能性もあります。
このまま交雑がすすむと、在来の野生型とされる個体群が絶滅するおそれもあります。
4. 放流にほかの魚が混ざる
コイを放流するということは、コイだけが放流されるわけではありません。
先述のようなウイルスなどの病気や、寄生虫などがコイと同時に放たれるほか、他の魚がコイと一緒に放流される可能性もあります。
たとえば、コイ科モツゴ属のモツゴという魚は元々フォッサマグナ地帯以西の本州・四国・九州に生息していたと考えられていたものの、現在は関東地方や北海道にも見られるようになりました。
