ロシアとのつながりが疑われたのは、ロシア系のメディアにOwens氏のバイデン政権時のアメリカ政府批判が数度取り上げられたことがあるとか、Owens氏がネオ・ユーラシア主義の有名思想家・アレクサンドル・ドゥーギンを取り上げたことがある、といった程度のことをきっかけにしたものだ。

これは参政党の場合と同じで、「反グローバル」の思想を掲げる勢力に特徴的な現象で、特に異質なこととも言えない。

現在、世界中で「反グローバル」系の思想が吹き荒れている。これらをすべてロシア系だという理由で取り締まることは、適切ではない以前に不可能である。

いずれにせよ、「ウクライナ応援団」系の学者層は、政府寄り・反ロシア・反トランプ・規制推進派(そもそもスプートニクなどは活動禁止にするべきだといった立場)と分類することができる。

これに対して、典型的な親露派として知られているアカウントなどは、対抗的な言説を行っている。

さてこのような構図が出来上がった中で、客観的に問題を議論を進めていくことが、極めて難しくなっているのは現実だろう。この文章を書いている私自身も、この文章が党派を超えて広く受け入れられることは諦めている。

しかしそれにしても、自分自身の頭の整理のためにも、必須と思われる論点の整理だけは行っておきたい。

この問題の位相は、大きく三つある。この三つの位相を混同することは、錯綜した議論を招くだけだ。党派的な議論を吹っ掛ける者は、その党派的な意図から、意識的に三つの位相の混同を仕掛けてくる。冷静に事態を把握するためには、その混乱助長の試みから距離をとる姿勢を維持しておくことだ。