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参議院選挙戦中に参政党の候補者がスプートニクの取材に応じたことが、大きな問題として取り上げられた。その後、政府に批判的な人物たちのSNSアカウントが一斉に閉鎖になるという事件があった。ロシア政府が日本政治に混乱をまき散らそうとしている!といった声が一斉にあがったが、どさくさ紛れのような話も多々見られ、混乱が広がった。

この問題は、自由主義社会としての日本のあり方を左右する重大な内容をはらんでいると思われる。他方、関心を持っているのは、敵を糾弾することに熱中している党派的に徒党を組んでいる方々ばかりだ。客観的な議論は、ほとんど見ることができない状況である。

まず硬直化した非難合戦の構図を整理しておこう。論点の整理は、その次に行う。政党間の関係から始めてみたい。

話題の参政党は、もともと「反グローバル」の思想的立ち位置を売りにしているところがある。その内容がブレているといった指摘もあるが、いずれにせよ参政党なりの「反グローバル」の立ち位置を主張している。この立場から、グローバリズムに対抗することを表明している勢力との思想的親和性が高くなる。

参議院選挙後には、ドイツの「極右」政党AfDの共同党首のクルパラ氏と参政党の神谷代表が会談をしたニュースもあった。この思想傾向から、ロシアが追求している「反グローバル」の姿勢と共鳴する部分が出てくるのは、おそらくはご本人方も認めるところだろう。そのうえで、スプートニクの取材に応じただけで親露派のレッテルを貼るのはおかしいと主張している。

自民党は、親米を売りにして長期にわたって政権を担当してきた政党だ。現在はともかく、冷戦時代にはアメリカから大々的な資金提供を受けて選挙を戦っていたことは、周知の事実である。思想傾向としては、したがって反露である。