今季からPRは19人から24人へ増員され、手当制度は廃止され基本給へ移行したものの、その報酬は公表されていない。しかし、W杯も含む国際審判員も務めたトップレフェリーだった西村氏の過去の報酬から、高くとも1,000万円前後と推測できるだろう。
この報酬格差は、Jリーグの審判のモチベーション維持や人材確保の大きな課題となっている。特にJ3では試合数が多くても報酬が低く、審判のプロ化が進みにくい状況にある。このため、若手審判の育成やPRの拡充が急務であることは明らかだろう。

簡易型VARの導入検討
現時点でIFAB(国際サッカー評議会)が公式に採用しているものではなく、あくまで構想・提案段階のアイデアであるが、J2・J3でのVAR導入に向けた妥協策として、簡易型VARの採用が一案として挙げられることがある。例えば、1人のVAR審判が特に重要なシーン(ゴールやPKなど)に限定して確認する方式であれば、人材やコストの負担を軽減できる可能性があるだろう。
また、一部のファンからは「DAZNの映像を使えばよい」という声もあるが、VARの運用はIFAB(国際サッカー評議会)が定める「VARプロトコル」に基づいており、特定の機材・映像品質・運用基準を満たす必要がある。放送用の映像はエンターテインメント目的で撮影されており、審判判定に必要な多角的・高精度な映像を常に保証できるわけではない。そのため、FIFAやAFCのガイドラインでは、VAR判定用には専用の映像フィードを用いることが求められている。
比較としてよく挙げられる大相撲では、1969年夏場所からビデオ判定が導入され、NHK中継映像を参考にしている。これは直径4.55メートルの土俵という競技環境が、小規模なカメラ配置でも十分にカバーできるためで、広大なフィールドを持つサッカーには単純に適用できない。