
7月20日に行われたJ1第24節の横浜F・マリノス対名古屋グランパス戦(日産スタジアム/3-0)で、前半35分、横浜FMのFW谷村海那のJ1初ゴールとなる先制点の判定が、議論を呼んだ。同先制点後、主審の上田益也氏がVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)担当の清水修平氏に確認し得点が認められたが、試合後に名古屋MF和泉竜司が「正直、オフサイドだと思う」と報道陣に語ったのだ。
確かに映像を見返すと、セットプレーの流れで横浜FMのDFジェイソン・キニョーネスが頭でゴール前にボールを送った瞬間、MF井上健太がオフサイドラインを超えているように見える。加えて井上が和泉を倒しているようにも見える。この一連のプレーによって、谷村はほぼフリーの状態で左足を振ることができた。よって井上が「ゴールに関与した(オフサイド)」と解されることも理解できる。
また、同日に行われたJ3の栃木SC対SC相模原(カンセキスタジアムとちぎ/1-2)では、後半アディショナルタイムに左サイドから攻め込んだFW加藤拓己の折り返しをDF常田克人が押し込み、相模原が劇的な勝利を収めたが、同じく判定に疑義が生じた。
こちらも映像を確認すると、加藤が折り返した瞬間、明らかにボールはゴールラインを割っていた。その際、副審は逆サイドに位置し、他の選手の陰になっていたために起きた不可抗力とも言える事象だが、J2以下はVARが導入されていないため、得点は認められた。
「サッカーに誤審は付き物」とされた時代も今は昔。スタジアムで観戦するファンもすぐにスマホでDAZNアプリを開きリプレイを確認できる“マイVAR”を持っている。レフェリーにとっては受難の時代とも言えるだろう。
ここでは、J1リーグにおけるVAR運用の課題と、J2・J3にVARが導入されない理由を深堀りしたい。
