次のこのケースを説明します。

② 市場に顧客が少ない革新的な新商品は、「ターゲットを絞り込め」が正しい

「3Dテレビ」を覚えていますか?

十数年前、家電量販店のテレビ売り場に行くと、至るところに「3Dテレビ」がありました。一般家庭向けに、マスマーケティングをしていたのです。

残念ながら「3Dテレビ」は数年ほどで市場から消えました。

「3Dテレビ」のように、市場に顧客がほとんどいない革新的な新商品の場合、マスマーケティングをやると大失敗します。

なぜなら顧客は商品をほとんど知らないからです。顧客は自分が知らない商品をいくら宣伝されても、ほとんど買いません。

こうした商品では、ターゲット顧客を徹底的に絞り込み、絞り込んだ市場を独占して、その上で徐々に広げていく必要があります。

実はAmazonは、そうして成長しました。

アマゾンがオンライン販売を始めたのは、1995年。

当時、インターネットが普及し始めた頃で、「ネットでは商品を手に取って確認できない。商品は売れないだろう」と言われていました。

創業者のジェフ・ベゾスは、「お客が手に取らなくても買う商品は何か?」と考え、いくつか候補を考えた中の1つが、新品の本だったのです。

Amazonは書籍のオンライン販売でトップシェアを獲得。次に、新品の本と同様に手に取らなくても購入できるCDを売り始めて、シェアを獲得。その次に、新品のパソコンに広げました。

Amazonは、「新品の本をネットで買いたい」「新品のCDをネットで買いたい」「新品のパソコンをネットで買いたい」という顧客に徹底的に絞り込み、徐々に市場を広げていったのです。

別の例も紹介しましょう。

1998年にオンライン決済サービスを始めたPayPalも、ターゲットを徹底的に絞り込みました。

当時、オンライン決済サービスを必要とする人はほとんどいません。

そこでPayPalは、最初のユーザをネットオークションのeBay上にいるパワーユーザ数千名に絞り込みました。