結論からいうと、これは「ケースバイケース」です。
① 日用品は「ターゲットを広げろ」が正しい2020年春、ローソンはPB商品「ローソンセレクト」の商品700品目をリニューアルしました。
それまでローソンセレクトの6割が男性客で、女性客が少ないことが課題でした。そこで女性を狙って、シンプルかつオシャレなデザインなパッケージに変更したのです。
たとえばマカロニサラダのようなお惣菜商品のパッケージを、無印良品風に薄いベージュ地に小さなイラストを乗せて、商品名を小さく記載するようにしました。
結果は、賛否両論でした。「おしゃれ」という意見もあれば、「わかりにくい」という意見も多かったのです。
実際には、マカロニサラダは、男性や忙しい主婦も買います。確かにパッケージはおしゃれですが、多くの人たちは欲しい商品が見つけにくくなりました。
ローソンがさすがなのは、すぐに対応して、1年足らずでパッケージを再修正。商品の写真と文字を大きくして、店の棚の上で、何の商品かすぐわかるようにしました。
「女性客が少ない」という課題を抱えていたローソンセレクトは、ターゲット顧客を「シンプルかつオシャレなデザインを好む女性客」に絞り込みましたが、逆に他の顧客を切り捨てていたのです。
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市場には様々な顧客がいます。
しかしお惣菜や日用品のように、市場にいる顧客の大多数が買うような商品では、ターゲット顧客をムリに絞り込まずに、商品を買う可能性がある顧客全体をターゲットにすべきなのです。
これが、バイロン・シャープや森岡毅さんが主張しているポイントです。
バイロン・シャープが実データで分析する市場は、歯磨き粉、自動車、銀行口座、コカコーラ等、一般消費者が購入する商品がほとんどです。また森岡毅さんが専門とする商品群も、ご出身のP&G商品(シャンプーなど)やテーマパーク、さらにクライアントのうどんやパスタなどが対象です。