政治や行政が打ち出す成長戦略が大事でないとは言わないが、明治期を見ても戦後の成長期を見ても、まず、国民や企業などの頑張りというベースがあっての成長戦略(富国強兵策や高度成長期の産業政策など)だ。

厳しい現実だが、国民一人一人が、かつての日本人や今成長している外国の人たちに比べて頑張っていない(もしくは、頑張り方・チャレンジが足りない)という事実に向き合うことが大事である。一人当たりGDPでG7で最下位(イタリアより下)。アジアでもシンガポールの半分しかなく、韓国や台湾にも抜かれ、間もなく40位台になろうとしている(38位)。先進国とは言えない状態になりつつある。端的に言って、負けているわけだ。一人一人が頑張る、また、頑張り方を工夫するしかない。

そうであるのに、消費税さえなくせば、外国人さえ排除すれば、日本経済は右肩成長をして、国民生活が滅茶苦茶に楽になるような言説がはびこっている。残念ながら、そのような簡単な解・夢物語は無い。

各個人、各企業が大きく羽ばたいていくチャンス・ベースが実は地域には沢山ある。むしろ、地域こそがフロンティアではないかと考えている。我々の先人たちは、素晴らしい自然、食文化、祭り、歴史的建造物などを有形無形に残してくれている。そしてそれが世界の注目を集めつつあり、インバウンドという形で花開いている面もある。

日本をより多極分散型にしていくため、各地で稼げる人たち・稼げる企業を多く生み出していくため、弊社が前々から論考等にまとめていた令和版の日本列島改造、令和版の企業城下町という発想とその実現力が今こそ求められている。

石破総理とは今年になって3回お会いしただけで、それまで全くお会いしたことがなく、面識がなかったが、その点で、地方の重要性を大きく理解していたと感じる。今後、いかなる政権、いかなる与党になろうとも、地域の重要性を強く認識して頂きたいと感じる今日この頃である。ちょっとした分配以上に、このことこそが、政治が取り組む課題のように思える。