この無党派の潜在票(浮動票)は、基本的に右派的である。かつては①自民党安倍派(安倍氏)に流れ、そこから少し前は②維新に行き、そして最近は③国民民主党に向かい、特に今回は④参政党に集まったと見ることができる。

この流動的保守票が最近の選挙の死命を決していると言っても過言ではないが、①〜④へのサイクルの速さ(安倍政権の発足から12〜3年程度。安倍政権の終わりから5年程度)を思うと、また、SNS全盛時代で「飽き」が早くくる流れを考えると、今後、更に新たな動き(参政党の次?)が出てこないとも限らない。既に今回、本来は国民民主党がもっと吸収出来た票を、参政党が取って行ったという面は否めない。山尾氏の擁立問題その他での「自爆」の面はあるにせよ。

「顔」「焦点」となる政党は選挙のたびにどこになるかは分からないが、いずれにせよ、こうした流動的保守票の顕在化・結集を前に、今後の選挙、それを受けての今後の日本社会はどうなるのであろうか。

2. 対立の先鋭化:実は大きな都市 vs.地方

多くの報道で見られるのは、今回の選挙があぶり出したものは、世代間の違い・対立である、というものだ。確かに、各種調査で明らかになってるのは、若い世代になればなるほど、国民民主党や参政党の支持率が高く、参政党はいわゆるロスト・ジェネレーションと言われる「不遇世代・不満世代」の40代〜50代の支持率も高く、逆にバブル期以前に就職等をしている60代〜80代などに行けば行くほど自民党の支持率が高いという構造だ。

そして同時に、そうしたロスジェネ・若年の不満層、自分の生活や人生がうまく行っていないのは、悪い政治や政治家のせいであり、そこさえうまく行けば自分の生活も好転すると安易に考えている層の“多く”が低所得者であり若年層に“多い”ことから(注:全員ではない。所得が高くて参政党などを応援している人も少なからずいる)、貧富の差による分断を強調する向きもある。