それが2008年4月になると、居宅サービスの利用者が269万人、施設サービスの利用者も83万人に増えた。同じく介護給付費は居宅サービスが2469億円、施設サービスが2079億円に上昇してきた。

介護従事者の現状

しかし、介護従事者の増員がそれに追いつけないという事態が発生していた。なぜなら、せっかく福祉系の専門学校や大学を出て、「介護福祉士」資格や「社会福祉士」資格を取って就職しても、介護現場がかかえる3K(暗い、汚い、きつい)という状況が生まれており、そのうえ他の業種と比べると報酬が20%程度低いままであったからである。それで福祉介護系の施設や事業所では離職率が高くなっていった。

この業界では俗に「人が品質」であるのに、人手不足が日常化していたために、十分なケアができない実態があったので、大分県の豊後大野市の現状を取材することにした。

日本健康財団での縁から

放送大学の出演依頼が来る3年前から、厚生労働省の補助金が日本健康財団に与えられ、「高齢者の健康づくり」をメインに私が座長として研究会を年数回開催していた。そこでは、豊後大野市の病院のコミュニティ・ケア・センターに所属する河村ケアマネージャーも委員であった。それで介護の現場を撮影して、その実態を明らかにしつつ、問題点と解決の見通しを得るために、番組出演をお願いしたところ、快諾された。

ケアマネージャーの日常

そこではケアマネージャーの日常として、一人で30人の要支援・要介護者を受け持っていること、それぞれに「ケアプラン」や「介護予防ケアプラン」を作成し、訪問してプラン内容を指導すること、センターでは定例のカンファレンスが毎週火曜日夕方にあり、センター所属の5人のケアマネージャーがそれぞれ抱える利用者の状況報告を行い、意見交換して、全員で情報共有することなどを教えていただいた。

訪問介護にも同行した

たまたま取材日程に合わせてもらい、在宅の要介護者宅への訪問介護にも同行した。