左側の写真は、こうして農園主に買われていった黒人奴隷がどれほどひどい肉体的苦痛に耐えていたかを示しています。南北戦争中に北軍兵士に保護された、ほぼ間違いなく逃亡奴隷の背中です。

たった1回脱走して捕まって罰を受けただけで、背中一杯にこれほどミミズ腫れの跡ができるほど何度も鞭で打たれていたとしたら、その場で死んでしまうのではないかと思うほど多くの傷跡が盛り上がっています。

おそらく何度も脱走して、そのたびに連れ戻されていたのだと思います。不屈の精神力には敬服しますが、捕まればこうした折檻を受けること覚悟で何度も逃げ出したくなるほどつらい日常生活を送っていたのでしょう。

次はかなり後の時代、多分19世紀末か20世紀初頭、広告宣伝がそうとう活発におこなわれるようになってからの、日用消費財の宣伝ポスター2枚です。

白は優秀で純粋、黒は劣悪で存在そのものが汚れているといった固定観念を強烈に刷りこむ意図がとてもはっきり出ているポスターだと思います。

そして、この白と黒というこれ以上鮮明な対照はない組み合わせに、なぜ北米大陸に乗りこんだヨーロッパ系の入植者たちの中でも、イギリスからの入植者たちはとくに執拗に先住民であるアメリカン・インディアンたちを殲滅しようとしたかも表れています。

白と黒のあいだに様々な中間色が入りこんでスペクトラムやグラデーションになって、対立があいまいになり、隷属身分の人間の見分け方がむずかしくなることを恐れていたのです。

だからこそ、フランス系、スペイン系、ポルトガル系の入植者たちは先住民と白人、あるいは黒人と白人の存在を認めていたのに、イギリスからの入植者たちは先住民は殺し尽くし、1滴でも黒人の血が混じったら黒人=奴隷身分ということにして、中間色の人々の存在そのものを認めようとしなかったのです。

20世紀半ばまで欧州と北米だけに対外純資産

次のグラフは、16世紀から南欧・西欧諸国がアジア、アフリカ、南北アメリカ大陸、オセアニアを植民地化する過程で、いかに多くの富が中核ヨーロッパと呼ばれる国々に集中したかを示しています。